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児童虐待の法的対応

児童虐待防止の法制度と国際比較

児童虐待への対応を中心にして国際的な法制度の比較が厚生科学研究等で進行しています。我が国では2000年に児童虐待防止法が公布施行(平成16年4月14日一部改正)されましたが、国際比較研究の報告を見ると児童虐待防止法を単独で持たない国も少なくありません。それぞれの国の歴史や文化、慣習や地域社会のあり方のなかで、知恵を絞って虐待に対応し、法改正や立法が進んでいくようです。平成13年度厚生科学研究の報告からまとめの要点を紹介しておきます。

E-2 児童虐待防止制度の国際比較

アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツ、イギリスを対象とした比較研究です。 以下が結果まとめです。
  1. 児童虐待防止制度として、児童虐待防止法のような単独法によることなく、民法、児童福祉法等により総合的に対応することも可能であること。
  2. 家庭の維持を優先的に考慮し、親子分離はやむを得ないときの手段として、位置付けられていること。
  3. 家庭維持の目的を達成するために、児童福祉関係の資源が質・量ともに確保されていること。
  4. 虐待の定義規定が設けられていない国もあること。
  5. 通告義務付け法を持たない国もあること。
  6. 虐待家庭への援助に当たり、その処遇決定に当事者の参加が保証されていること。
  7. 児童福祉機関による援助が、裁判所の手続きにより担保されていること。
  8. 親子分離が必要な場合は、タイムスケジュールに沿って、適正手続きの理念にもとづいて、司法的判断がされていること。
  9. 親子分離中の親および公的機関の権限が明らかにされていること。
  10. 懲戒権のあり方について、各国の対応は多様であること。
「 ・・・諸外国においては、こうした問題に対して、民法の伝統的手法によりまたは新たな立法により、対応を試みてきている。これらの試みがすべて成功しているとは言い難いが、我が国に先立って重大な児童虐待問題を経験してきた国々に学ぶべき点は少なくない。社会文化的背景や法制度の差異から、諸外国の制度をそのまま移入することは出来ないし、これらの国々における制度改正が、充分な時間と論議の積み重ねの上に行われていることにも留意しなければならない。児童虐待問題は子どもの養育をめぐる家族(親)と国家の関係にかかわる基本的な問題だけに、国民的な論議が今後さらに深められ、充分なコンセンサスを元にして、児童虐待防止制度のあり方が検討される必要があろう。」との、結びがあります。
[参考資料]
吉田恒雄:児童虐待防止法制度の国際比較から見た我が国の法制度上の課題;
(鈴木博人主任研究者「児童保護システムと児童福祉法の国際比較研究」
アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツ、イギリスを対象とした比較研究
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