子ども虐待は私たちの社会が抱える世界的問題の一つであり、日本でも2000(平成12)年に児童虐待の防止等に関する法律が制定され、虐待防止の取り組みを進めてきました。子どもの虹情報研修センター(日本虐待・思春期問題情報研修センター)は、本法を受けて、2002(平成14)年4月に開設され、以降子ども虐待及び思春期問題にかかわる職員を育成し、また高度専門情報を集約・発信する拠点として活動しています。
子ども虐待の防止は子どもの権利擁護と深く結びついています。日本では、2016(平成28)年に児童福祉法を改正し、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、子どもを権利の主体として位置付けました。さらに2022(令和4)年には、同じく条約の精神を基本理念に謳ったこども基本法が制定され、翌年に「こどもまんなか社会」の実現に向けこども家庭庁が設立されました。そこでは子ども虐待防止が取り組むべき柱の一つとなっています。
私たちは、児童の権利に関する条約を踏まえ、子どもの声を聴き、子どもの多様性を尊重し、子ども一人一人に応じた最善の利益を追求して、かけがえのない命と健全な発達を保障するよう求められています。
子どもの虹情報研修センターはそうした経緯を踏まえ、地方自治体、民間の援助機関、関係団体、研究機関等と緊密に連携し、研修や研究、また専門相談、情報提供等の取り組みを進めます。子どもたちが安心して生きられる社会を実現するため、子どもの明るい未来を拓く虹の懸け橋となるよう努めます。
センター長 増沢 高