ご挨拶

子どもの虹情報研修センターは2002年に開設しました。
皆様のご理解とご協力のおかげで20周年を迎えられたこと、心より感謝申し上げます。
開設20周年を記念して、これまでにどんな事を海外から学んできたのか概観するために、当センターで招聘した海外講師や海外視察情報をまとめたページを作成しました。

川﨑二三彦センター長より

小林美智子顧問より

年表

児童虐待防止対策（法制度）の経緯
日本における子ども虐待重大事件

2000

児童虐待の防止等に関する法律（児童虐待防止法）の成立

児童虐待の定義（身体的、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待）

  • 住民の通告義務
  • 住民の通告義務 等
  • 武豊町3歳女児ネグレクト死事件（愛知県）

    愛知県武豊町のアパートで、3歳女児が食事を適切に与えられずに餓死し、保護責任者遺棄致死罪の容疑で実父母が逮捕された。
    発見時の女児の体重は5kgで標準の4割に満たず、段ボールの中で両足を折り曲げたまま硬直した状態であった。
    判決では殺人罪と認定され、両親とも懲役7年が言い渡された。
    ネグレクトが死亡にまで至る危険がありうるという認識が十分に共有されておらず、関係機関のネットワークの構築がされていなかった当時の虐待対応のあり方に波紋を投げかけた事例であった。

2001

  • 尼崎市6歳男児運河遺棄事件（兵庫県）

    兵庫県尼崎市の運河で、子どもの遺体が入ったポリ袋が発見された。被害児は、児童養護施設入所中の小学1年生男児であった。
    警察は、行方不明になっていた男児の実母と継父を逮捕、2人が児童養護施設から一時帰宅中だった男児に対して暴行を繰り返し、死に至らしめたうえ、ゴミ袋に遺体を入れて捨てたことを明らかにした。実母と継父にはいずれも懲役8年の刑が言い渡された。

2003

  • 同居少年による4歳男児虐待死事件（名古屋市）

    名古屋市で4歳男児が心停止状態で病院に運び込まれ、間もなく死亡した。実母と交際・同居していた高校3年生の少年（18歳）が日常的に男児に虐待を繰り返しており、事件当日も実母は暴行を目撃しながらも少年をかばって虚偽の説明をしていた。
    少年は傷害致死の罪で懲役3年以上5年以下の不定期刑が言い渡された。

2004

児童虐待防止法・児童福祉法改正

  • 児童虐待の定義の見直し（同居人による虐待の放置等も対象）
  • 通告義務の範囲の拡大（虐待を受けたと思われる場合も対象）
  • 市町村の役割の明確化（相談対応を明確化し虐待通告先に追加）
  • 要保護児童対策地域協議会の法定化　等
  • 岸和田市中学生ネグレクト事件（大阪府）

    岸和田市で中学3年生の男子（15歳）が病院に緊急搬送された。
    男児の身体は痩せこけ、顔は蒼白、目は見開いたまま呼びかけに応じず、体中に床ずれが見られた。
    不審に思った救急隊長が警察に通報し、捜査が始まった。鑑定した医師は、「飢餓の最終段階。最低でも3カ月は食事を与えられていなかったのではないか」と話した。
    2004年1月、実父と継母が殺人未遂容疑で逮捕された。連日マスコミで報道が繰り返され、福祉や教育をはじめとした関係者に大きな衝撃を与えただけでなく、その後の福祉施策の方向性に大きな影響をもたらした。

  • 小山市幼兄弟殺害事件（栃木県）

    栃木県小山市で4歳の兄と3歳の弟が同居していた男性に殺害され、川に捨てられた。
    兄弟は児童相談所に一時保護された経緯があったが、一時保護解除後、祖父母宅を出て男性宅で同居していた。実父と同居男性は先輩後輩の関係にあり、覚せい剤を通した癒着関係もあった。
    事件を受けて地元では民間の虐待防止活動団体「カンガルーOYAMA」が発足し、オレンジ色のリボンを虐待防止の象徴とした活動が始まった。オレンジリボンキャンペーンのきっかけとなった事件である。

2006

  • 泉崎村3歳男児ネグレクト死事件（福島県）

    福島県泉崎村で3歳男児が低栄養と肺炎により死亡した。
    保護責任者遺棄致死罪で実父は懲役10年、実母は懲役6年の刑が言い渡された。
    実父母には5人の子どもがおり、長女は生後3ヶ月で乳幼児突然死症候群で死亡、長男は実父からの虐待により親権喪失、当時同居していた次男、次女、三男の本児は食事を与えられていないだけでなく日常的に虐待を受けていた。
    自宅には全自動シャッターが取り付けられるなど周りとの接触が断たれており、複数回の立ち入り調査も両親の抵抗で不成功に終わり、最悪の結果に至った。

  • 長岡京市3歳男児ネグレクト死事件（京都府）

    京都府長岡京市で、実父と内妻が食事を与えないなどによって3歳男児が餓死した。
    本児の姉は虐待により施設入所していたが、姉の入所後、本児についての虐待通告が児童相談所に何度も入っていた。
    しかし、本児への直接的介入はなく死亡に至った。
    本事件が契機となり児童相談所運営指針の見直しが図られ、通告を受けた後の安全確認にについて「『48時間以内とする』ことが望ましい」といういわゆる「48時間ルール」が設けられた。

2007

児童虐待防止法・児童福祉法改正

  • 児童の安全確認等のための立入調査等の強化
  • 保護者に対する面会・通信等の制限の強化
  • 保護者に対する指導に従わない場合の措置の明確化　等

2008

児童福祉法改正

  • 乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業等子育て支援事業の法定化及び努力義務化
  • 要保護児童対策地域協議会の機能強化
  • 里親制度の改正等家庭的養護の拡充　等
  • 南国市小5男児暴行致死事件（高知県）

    高知県南国市で小学5年生男児（11歳）が、内夫の暴行により死亡した。亡くなる前夜に本児が「謝らない」として、内夫が本児を投げつけるなどの暴行を加え、心肺停止状態に陥ったが翌朝死亡した。
    死亡する約1年前には本児と弟について虐待通告されており、ネグレクトを理由に次男は児童養護施設に入所、本児は在宅支援となっていた。しかし、関係機関で連携がとれないまま内夫と一度も接触できず、最悪の結末を迎えた。

2009

  • 点滴汚染水混入事件（京都市）

    京都市内に入院していた1歳10ヶ月の五女の点滴チューブに、古くなったスポーツドリンクを注入したとして実母が殺人未遂の疑いで逮捕された。
    その後の調べで、本家族の5人の子どものうち、3人が死亡していたことがわかり、それが「代理ミュンヒハウゼン症候群」というある種特殊な虐待によるものであるとされたことから社会的関心が高い事件であった。
    本事件は「代理ミュンヒハウゼン症候群」が問題とされた初めての刑事裁判であることや、当時始まったばかりの裁判員裁判制度によって公判が行われたこと等から連日大きく報道され、社会的にも大きく注目された。

2010

  • 江戸川区小1男児虐待死事件（東京都）

    東京都江戸川区で、小学1年生の男児（7歳）が継父と実母から暴行を受け、意識不明になり救急搬送され、翌日死亡が確認された。長期にわたり日常的な虐待が行われており、傷害致死罪で継父は懲役8年、実母は懲役5年の刑が言い渡された。
    学校をはじめ、様々な機関が関わりを持っていたにも関わらず、死亡を防ぐことができなかった事件として注目を集めた。
    この事件がきっかけとなり、当センターでは「教育・福祉虐待対応職員合同研修」を開催している。

  • 西区2幼児放置死事件（大阪市）

    大阪市西区のマンションで3歳女児と1歳男児のきょうだいの遺体が見つかった。
    実母が自宅マンションに2児を置き去りにし、1カ月以上放置して衰弱死した。遺体は腐敗、白骨化しており、一部ミイラ化していた。児童相談所に何度も通告があったのに防げなかったことに加え、実母が2児を放置して長期間遊び歩いていたことがわかり、厳しい批判が寄せられるなどした。
    また、懲役30年という、虐待死事例のなかでも重い判決が下されたことでも注目された。

2011

児童福祉法改正

  • 親権停止及び管理権喪失の審判等について、児童相談所長の請求権付与
  • 施設長等が、児童の監護等に関し、必要な措置をとる場合には、親権者等はその措置を不当に妨げてはならないことを規定
  • 里親等委託中及び一時保護中の児童に親権者等がいない場合の児童相談所長の親権代行を規定　等

民法改正

  • 親権の停止制度の新設

2012

  • 横浜市6歳女児遺棄事件（横浜市）

    2013年4月、横浜市内の雑木林に6歳女児の遺体を遺棄した疑いで、実母と同居男性が逮捕された。
    2012年7月、実母は本児に暴行を加え、その後同居男性が翌朝にかけてさらに暴行を加え、死亡に至った。
    その数日前に、警察からの児童通告を受けた児童相談所が区役所とともに家庭訪問を実施していたが、虐待を隠すために実母と同居男性が本児を不在にさせ、状況を確認できなかった。裁判の結果、実母は懲役2年、同居男性は懲役8年の判決が言い渡された。

2014

  • 厚木市5歳男児居所不明死亡事件（神奈川県）

    2014年5月、実父と2人で暮らしていた自宅アパートで、5歳男児が死後約7年経過したとみられる白骨化遺体で発見された。
    実母が家出した後約2年間、本児は電気もつかない部屋に閉じ込められ、死亡前の約2か月間はほとんど食事を与えられずに衰弱死した。児童相談所は本児が3歳の時に路上で迷子になっているのを保護し、実母に引き渡していた。その後、保育園や幼稚園への入園状況や小学校の通学状況を調べたが、本児の所在確認ができていなかった。また、教育委員会は居所不明を理由に学齢簿から本児を削除しており、児童相談所と教育委員会の間で情報共有はされていなかった。裁判の結果、実父には懲役19年の判決が言い渡された。本事件を受けて全国的に子どもの居住実態調査が行われることとなった。

  • 足立区4歳男児遺棄事件（東京都）

    2012年12月下旬頃から13年3月上旬頃まで、自宅アパートで当時3歳の男児（次男）がウサギ用の小型ケージに監禁され、窒息死の後実父が遺体を捨てていた。家族は2012年に足立区に転入したが、前住所地の児童相談所も転入先の児童相談所も家庭訪問を継続していた。
    2013年2月に子ども全員を確認した際には健康状態に問題は見受けられなかったが、それ以降は接触を拒まれるようになり、2014年5月には寝ている子ども達の姿を確認したが、実際は本児は人形で偽装されていた。
    6月に臨検・捜索に踏み切ったところ家財道具がなく不在だったことから家族の捜索が開始され、事件が発覚した。
    遺体が発見されないまま異例の立件となったが、実父に懲役9年、実母に懲役4年が言い渡された。

2016

児童福祉法・児童虐待防止法等の改正

  • 児童福祉法の理念の明確化
  • 母子健康包括支援センターの全国展開
  • 市町村及び児童相談所の体制の強化
  • 里親委託の推進　等

2017

児童福祉法・児童虐待防止法等の改正

  • 虐待を受けている児童等の保護者に対する指導への司法関与
  • 家庭裁判所による一時保護の審査の導入
  • 接近禁止命令を行うことができる場合の拡大　等

2018

  • 目黒区5歳女児虐待死事件（東京都）

    5歳女児が養父から暴行を受け、意識不明の状態で病院に搬送されたが、まもなく死亡した。一家は2017年12月から2018年1月にかけて香川県から東京都目黒区に転入。死亡当時、女児は2歳女児の平均体重とほぼ同じ約12キロであり、司法解剖からも日常的に暴行を受けていたことがわかった。
    転居前の香川県では、養父は女児に暴行を加えてけがをさせたとして書類送検されていたがいずれも不起訴となっていた。また、女児は香川県の児童相談所で一時保護されたこともあった。
    裁判の結果、養父は懲役13年、実母は懲役8年が言い渡された。
    転居事例への対応について大きく取り上げられた事例である。

2019

児童福祉法・児童虐待防止法等の改正

  • 体罰禁止の法定化
  • 児童相談所の体制強化・設置促進
  • 関係機関間の連携強化　等
  • 野田市10歳女児暴行死事件（千葉県）

    10歳女児が実父からしつけと称した暴行を受け、食事や十分な睡眠も取らせてもらえず、虐待の末に死亡した。
    女児は、学校でのアンケートに父からの暴力を訴え、児童相談所が一時保護したが、実父の圧力で解除された経緯があった。実母は実父からのDVを受けており、女児を守ることができなかった。
    実父は懲役16年、実母は保護観察付執行猶予5年を言い渡された。事件を受け、登校していない児童・生徒の安全確認が全国の小中学校で実施された。
    また児童虐待防止法等が改正され、親の体罰禁止が明記された。

2020

  • 大田区3歳女児放置死事件（東京都）

    3歳女児がワンルームマンションで8日間育児放棄された上死亡した。司法解剖の結果、女児の死亡は高度脱水症及び飢餓によるもので、胃の中は空っぽであった。
    実母は、女児を家に置いたまま鹿児島市内の交際男性のところへ遊びに行き、8日後帰宅した際、女児が亡くなっている事に気づき通報した。女児は発見当時、極端にやせた状態ではなく、目立った外傷はなかったが、部屋の中には空きペットボトルや菓子の袋が散乱していた。実母自身も幼少期に両親から虐待を受けており、社会的養護のもとで育った歴史があった。
    裁判の結果、実母には懲役8年の刑が言い渡された。

2022

児童福祉法改正

  • 子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化及び事業の拡充
  • 一時保護所及び児童相談所による児童への処遇や支援、困難を抱える妊産婦等への支援の質の向上
  • 社会的養育経験者・障害児入所施設の入所児童等に対する自立支援の強化
  • 児童の意見聴取等の仕組みの整備
  • 一時保護開始時の判断に関する司法審査の導入
  • 子ども家庭福祉の実務者の専門性の向上
  • 児童をわいせつ行為から守る環境整備

虹センターの活動
（海外講師・海外視察）

2002

虹センター開設：小林登センター長

2003

  • 公開講座「
    チンパンジーの子育て

    グドール博士は、野生チンパンジーの研究に世界で初めて着手した研究者で、チンパンジーが道具（木の棒を使ってシロアリを食べる）を使う大発見をしました。
    公開講座は、グドール博士によるチンパンジー語の挨拶から始まりました。その後、観察したチンパンジーの子育ての様相について、チンパンジーの性格や、家族構成などによって子育てスタイルが異なること、子育てが子どものチンパンジーの成長だけでなく、大人になってからのリーダー性や次世代継承にも大きく影響することなどが話されました。

    」
    講師：ジェーン・グドール博士　Jane Goodall
  • 海外視察「
    ドイツ（ベルリン）

    児童虐待防止制度の運用を調査することを主眼に、5か所の機関、施設を訪問しました。

    」
  • 海外視察「
    フランス（パリ、オルネー、ディジョン）

    児童虐待の対応制度を知る目的で、6か所の機関、施設の視察を行いました。

    」
  • 海外視察「
    アメリカ（ロサンゼルス）

    被虐待児の保護システム、治療の現状、性虐待への対応(司法面接）、マルチディシプリナリー・アプローチを主眼に、7機関の視察を行いました。

    」

2004

  • 公開講座「
    子どもの国際化の 現状と課題

    李博士は看護学・助産学が専門で、在日韓国人の母子保健をテーマに多数の著作を執筆されています。講演では日本における在日外国人の当時の状況をデータを用いて解説されました。当時、日本で暮らす外国人の数は増えており、李博士は多民族が共生できる社会づくりを目標に研究を行っていました。ある地域では通訳を置いたことで乳幼児健診の受診率が劇的に上がったことや、日本語が話せない子どもたちが学校で困らないように日本語教育に力を入れた地域の話など、実例をもとにお話しくださいました。当時からキーワードとして提示されていた「多文化共生」は、現在も取り組むべき大事な課題です。

    」開催
    講師：李　節子博士（東京女子医科大学）

2005

  • 公開講座「
    被虐待児とその親に対する アメリカのケアシステムとケアの実際「家族援助と専門的トレーニング」

    マタヨシ博士より、家族中心のケアと多分野連携の教育プログラムについて講演をしていただきました。家族中心のケアを展開するための地域社会をベースにした実践、それぞれの文化にかなったシステムなどについても解説が加えられています。学生を対象とした多分野連携の教育プログラムについては、実際に取り組まれている二つのプログラムが紹介され、その目的やカリキュラムなどが詳説されています。当事者である家族や子どもを中心に据えた実践や多分野の専門職による協働は現在においても重要な課題として挙げられており、非常に学びの多い講演となっています。

    」開催
    講師：ロナルド・マタヨシ博士　Ronald F.Matayoshi（ハワイ大学社会事業学部）
  • 公開講座「
    アメリカ及びハワイにおける児童虐待」

    ゴディネ博士より、アメリカ及びハワイ州における児童虐待対応の現状について講演をしていただきました。アメリカ及びハワイ州における児童虐待対応システムを詳説し、児童虐待をなぜ、そしていかに防止するのか解説を加えています。講演から20年近く経ちますが、児童虐待通告の急増にいかに対応したか、児童虐待対応に司法がどのように関わるかなど、現在の日本にも貴重な示唆を与える内容となっています。

    」開催
    講師：メリパ・ゴディネ博士　Meripa T.Godinet（ハワイ大学社会事業学部）

2007

  • 公開講座「
    英国から学ぶ児童虐待対応

    ピッケン博士は、英国の児童虐待防止学会（BASPCAN）の当時会長で、英国の児童虐待対応や予防の状況について講演をしていただきました。当時、英国では予防よりも治療や保護に焦点が当てられたり、多分野協働が行われていないなどの課題を抱えていたようです。それらを突破するために、LSCBという多分野協働の枠組みが作られたり、「すべての子どものために」政策が提言されるなど、この頃から予防の大事さが謳われていました。

    」開催
    講師：ジョナサン・ピッケン博士　Jonathan　Picken（BASPCAN会長）
  • 海外視察「
    イギリス(ロンドン、ケント、オックスフォード）

    児童虐待対応のシステム、児童と家族への支援（治療的ケアなど）、専門職に対する研修、教育と福祉の連携を研究課題として12の機関、施設、個人等を訪問しました。

    」

2010

小林美智子センター長就任

2011

  • 公開講座「
    トラウマが子どもの 発達に及ぼす影響

    パトナム博士は子ども虐待研究の第一人者であり、虐待が子どもの心身の発達に及ぼす長期的な影響を豊富な研究や実践経験などから体系化されました。他にも多職種で構成される子ども虐待チームによる診断・治療・介入システムを築き上げ、有効な治療プログラムの開発と普及にも尽力されました。講演はトラウマや逆境体験が子どもの発達に及ぼす影響とその治療について、神経生物学からの知見や数々の研究によるエビデンスに基づいて報告されており、子ども虐待対応に携わる専門職には必聴の内容となっています。

    」開催
    講師：フランク・パトナム博士　F.W.Putnam（シンシナティ子ども病院附属メイヨーソンセンター）

2012

10周年

2015

川﨑二三彦センター長就任

2016

  • 2016JaSPCANおおさか大会国際プログラム
    「
    マイケル・ラターインタビュービデオ　逆境（adverse）状況の子どもの理解と支援

    ラター博士は、英国の著名な児童精神科医です。ルーマニアでの養子縁組研究などをもとに、逆境状況の子どもの理解と支援に必要な視点を提示しました。ラター博士の幼少期の体験から話が始まり、養育には特効薬はなく、多様な視点・アプローチを個々の子どもに合わせて行うことが大事であるという視点や、レジリエンスは資質ではなく周囲との相互作用プロセスの結果であるという言葉等、いつ見ても子ども支援の根本に立ち返ることができる内容です。DVDには、花房昌美氏と岩佐和代氏の解説や渡辺久子氏と村瀬嘉代子氏の対談も収録されています。（本DVDはJaSPCANおおさか大会実行委員会が作成したものです。）

    」
    講師：マイケル・ラター博士　Michael Rutter（モーズレイ病院精神科名誉顧問）

2017

  • 海外視察「
    ルーマニア（ブカレスト）

    ブカレスト早期介入プログラムによって愛着研究に重要な知見をもたらすことになった国における、現在の児童福祉と要保護児童対策、社会的養護の方向性の調査を目的として7か所の機関、施設の視察を行いました。（資生堂児童福祉海外研修同行）

    」
  • 海外視察「
    ドイツ（ベルリン）

    児童家庭支援制度・政策の理念と歴史的変遷、現状、施策の具体的展開の調査を目的として10か所の機関、施設の視察を行いました。（資生堂児童福祉海外研修同行）

    」

2018

  • 海外視察「
    イギリス(ロンドン、リーズ、バーミンガム、ハートフォードシャー、ソールズベリー）

    児童と家族に関する諸問題、児童福祉の現状と施策、児童の安全保障と保護、児童家庭ソーシャルワーカーの人材育成を主眼として19の機関、施設、個人を訪問しました。（資生堂児童福祉海外研修同行）

    」

2021

  • JaSPCANかながわ大会海外招聘講演
    「
    児童保護制度の向上に向けて：他国からの教訓

    ムンロー教授は、イギリスの児童保護施策について、国からの依頼を受けて総合的に評価し、対策を提言した方です。講演では、イギリスの児童保護施策の歴史、最近の動向について語られました。児童福祉領域は、原因と結果が明確な線形モデルではなく、不確実な要因も含め様々な要因が絡みあう複雑系モデルで物事を考える必要があり、大きな枠組みは必須であるが、その中で働くソーシャルワーカーが個々の子どもや家族の状況に沿って考え・判断することが求められることや、ソーシャルワーカーの育成の大事さも話されました。

    」 開催
    講師：アイリーン・ムンロー教授　Eileen Munro（ロンドン大学スクール・オブ・エコノミクス(LSE)）
  • JaSPCANかながわ大会海外招聘講演
    「
    性虐待を防止する：親子のための技能に基づいたアプローチ

    ノル博士は、子ども虐待に関する臨床家・研究者であり、虐待、特に性的虐待の長期予後の研究に精力的に取り組んでおられます。講演では、性的虐待の持つ特有の課題や長期にわたる心身への深刻な影響について詳説したうえで、性虐待を防止する取り組みをペンシルベニア州を例にご紹介くださいました。教育と連携し、従来から行われていたプログラムに性虐待予防プログラムを加えることで広く実施したり、またハイリスク家庭とされている親へ行われているペアレントトレーニングに性虐待予防の内容を加えたりすることで、大きな負担なく予防プログラムを実施しています。その結果、性虐待の発生率が下がっていることが報告され、着実に成果を積み上げているお話は、日本の支援者・研究者にとって学びの多い内容となっています。

    」 開催
    講師：ジェニー・ノル 博士　Jennie G.Noll（ペンシルベニア州立大学）
  • JaSPCANかながわ大会ビデオレター講演
    「
    教育虐待の被害者として語り　医師として虐待予防に取り組む

    ラファエル医師は、フランスにおいて児童保護制度の整備や啓発活動に尽力してきました。講演は川﨑二三彦によるインタビューの形式で進められ、当事者が虐待の被害を周囲に相談せず押し黙る背景、虐待が子どもや家族に及ぼす影響、虐待による傷つきからの回復とその為に必要な支援について、教育虐待の被害者として、また医師として語られました。フランスで当事者による発信を牽引してきたラファエル医師の力強いメッセージは、現在の日本にも多大なる示唆を与えてくれます。

    」 開催
    講師：セリーヌ・ラファエル 氏　Celine Raphael（ネッカー子ども病院/国家こども保護委員会）
  • 海外視察「
    フランス（パリ、セーヌ=サン=ドニ）

    次世代育成と児童福祉の制度政策及び施策を調査することを目的として19の機関、施設、個人から話を聞き、施設のオンライン見学をしました。（資生堂児童福祉海外研修＜オンライン視察＞参加）

    」

海外の情報についてはこちらにもまとめています。ぜひご覧ください。