臨床・実践に関する研究(課題研究)

2005年度研究

  • 児童養護施設における困難事例の分析

    研究代表者名 増沢 高(子どもの虹情報研修センター)

     子どもの虹情報研修センターでは、児童養護施設職員対象の研修の事前課題として、担当するケースを一つ選び「事例概要」としてまとめることを求めている。本研究は、その「事例概要」(過去2年間全206例)の記述から、入所に至るまでの生育歴上の特記事項、入所後の子どもや家族の問題、それらに対する援助体制や取り組みの工夫等を抽出し、整理、分析することを目的とした。
     結果として以下の4点が見出された。
    ①困難な事例に、3歳までの分離体験が多く見られる。
    ② 小学校3、4年時は、適応的な行動がとれるようになり状態が安定するケースと、弱者へのいじめ、非行などの問題が生じ始めるケースに分かれる。
    ③問題が多発するケースの背景に、未解決なままに残されている家族の問題がある。
    ④好転したケースの要因として以下の5つが認められる。
    ・関係者(施設内・外)の利用・連携
    ・信頼できる大人とのかかわり
    ・子どもの発達状況や特徴、状態に適した課題や場の提供
    ・子どものよき資質や得意なことを見出し、周囲から認められる体験
    ・根気と時間をかけること

    報告書ダウンロード