• 母子生活支援施設における母子臨床についての研究 第2報:臨床実践に関するヒアリング調査

    研究代表者名

    山下 洋(九州大学病院)

    研究概要

     本研究は、母子生活支援施設に入所中の世帯の母子関係の現状を把握し、そこでみられた問題に対する治療的支援の方法としての母子臨床の可能性やあり方などについて整理・検討することを目的としている。本報告書では、前報における実態調査の結果を踏まえ、母子臨床の取り組みを行なっている5施設を対象にヒアリング調査を実施し、その結果を整理・検討した。ヒアリング対象となった施設は倉明園、皐月、東さくら園、永生会母子ホーム、野菊荘であり、それぞれが独自の特色を持って支援を行なっていた。
     ヒアリング結果については、①アセスメント、②母親への支援、③子どもへの支援、④母子関係調整のための支援、⑤情報共有(チームワーク)、⑥他機関連携、⑦その他の7つの視点に沿って、各施設の支援実態について、事例を交えながら整理した。具体的な支援のノウハウ、施設の理念、支援者の思い等を読み取ることができ、現場の支援者にとっても得るものが多い内容となっている。
     各施設が利用者のニーズに合わせて様々な専門的支援を行なっている一方、全施設に共通していたのは、母子が共に生活できる母子生活支援施設のメリットを最大限に活かし、チームで母子臨床の取り組みを行なっていたことであった。考察では、上記7つの視点から、全施設に共通していた取り組みや姿勢等について検討を加えている。
     また巻末には、各施設の利用者向けの栞、自立支援計画書、家庭調査票等を資料として載せており、現場の支援者が活かせるようになっている。

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  • 今後の児童虐待対策のあり方について (2) 虐待対策における課題解決の方向性

    研究代表者名

    津崎 哲郎(児童虐待防止協会)

    研究概要

     研究会での集団的討議を経て、以下の領域に関して課題の提示を行った。
    (1)実務上の主要な課題点と、その克服のためのいくつかの試案、及びそれらの利点、課題の提示
    (2) 医療・保健領域におけるいくつかの課題点と、その克服の方向性及び実践例、関連資料等の
    提示
    (3)一時保護のあり方について、現状と今後の活用をめぐっての提示
    (4)統計のあり方について、現行の問題点の整理と今後の方向性についての提示
    (5)児童虐待に係る学校教員研修の実情把握に関わっての提示
    (6) 市町村在宅支援体制の課題とその強化に向けての方策提示、並びにアメリカワシントン州における取組の紹介

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  • アジアにおける児童虐待への取り組みに関する研究 体罰の防止に向けて (第2報)

    研究代表者名

    柳川 敏彦(和歌山県立医科大学)

    研究概要

     虐待に対する取り組みの先進国である欧米諸国の実態や取り組みは、従来からわが国に紹介され、わが国の対策の一助となっている。一方、アジア地域で子どもの人権擁護の概念が今なお乏しく、家庭、学校等における体罰の是非についての社会的課題が依然大きく残されている。本課題研究は2年間研究で、アジア各国の児童虐待の現状を明らかにすること(25年度)、体罰対応の課題を抽出・分析し、アジアにおける今後の虐待対策に資すること(26年度)を目的とした。
     26年度研究では、国際児童虐待防止学会の中で開催された新興国フォーラムでの「体罰の撲滅」ワークショップからアジア各国(イラク、日本、中国、韓国、タイ)の報告等を収集した。
     現状は家族/家庭、学校、地域等、日常の場面で児童への体罰が広く蔓延していることが再確認された。体罰の定義・認識は強者の立場による定義が使用されていること、「児童の権利」が依然として尊重されていないこと、体罰による児童への悪影響の知識が不十分であることなどが課題として抽出された。「体罰の撲滅」への対応は、あらゆる子どもを対象に、いかなる場面、いかなる地域においても「児童の権利」を基盤とすることが必須であり、「体罰意識の変容」、「あらゆる体罰を禁止する法律」、「前向きな子育て」等のキーワードが採択された。今後は、多職種の関与による具体的、実践的な社会整備が望まれるとともに、若い世代に対して学校等の教育場面での周知が必要である。

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  • 市区町村における児童家庭相談実践の現状と課題に関する研究

    研究代表者名

    川﨑 二三彦(子どもの虹情報研修センター)

    研究概要

     2004年に児童福祉法が改正され、市区町村が児童虐待対応の窓口になるとともに、要保護児童対策地域協議会(以下、要対協)が法定されて、すでに10年以上が経過している。この間に、各市区町村では様々な工夫を繰り返して、相談体制の構築や要対協運営の活性化を図ってきた。しかし今だに相談体制が整わず、要対協の効果的運営に至っていない自治体もみられる。本研究は全国で先進的あるいは特徴がある取り組みを実施していると思われる自治体を選定し、ヒアリングを行うことで、市区町村の児童家庭相談実践の現状と課題を整理し、参考になる事例を周知することを目的とした。ヒアリング対象として選定した自治体は、町が2自治体、人口10万人以下の市が2自治体、人口10万人から20万人以下の自治体が2か所であった。
     それぞれの自治体の特徴を見ると、小さい自治体なりの工夫や小さい自治体でもできることが見られた。例えば、全ての学校・保育園を児童相談担当者が巡回して相談を受けることで、連携関係をスムーズにしながら要支援事例を掘り起こせている自治体があった。また、庁内の教育・福祉・保健部署の一体化を図ることで、縦割りを超えた連携を可能とした自治体もあった。一方で、専門職員の複数雇用や異動周期を長くすることなどで、職員体制を充実させている自治体もあった。
     また、児童相談所との関係では、共通アセスメントによる協議や適宜の連絡体制が確保され、良好な関係が維持されている自治体が多かった。要対協の運営でも地域別会議を設けて進行管理の密度を高めたり、部会を設けるなどの工夫がそれぞれの自治体でなされていた。
     いずれの自治体においても異なる歴史や背景を持っているが、その特徴を踏まえながら、職員の創意工夫により現在の体制が構築されてきていることがわかった。自治体や首長の積極的な姿勢も体制強化に寄与していると考えられた。

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