文献・研究等の収集と分析

2007年度研究

  • 児童虐待の援助法に関する文献研究-戦後日本社会の「子どもの危機的状況」という視点からの心理社会的分析-児童虐待に関する文献(2000-2007年)の紹介

    研究代表者名 保坂 亨(千葉大学教育学部教育実践総合センター)

  • 虐待の援助法に関する文献研究(第4報:2000年代)児童虐待に関する法制度および法学文献資料の研究 第3期(2000年6月から2004年4月まで)

    研究代表者名 保坂 亨(千葉大学教育学部教育実践総合センター) 吉田 恒雄(駿河台大学法学部)

     本研究では、児童虐待防止法が成立した2000年6月から2004年4月の児童虐待防止法改正までの時期を対象として、児童虐待に関する法的問題を扱う文献や裁判例、通知等の法令を分析した。
     第3期において最も注目されるのは、児童虐待防止法の成立によって、これまで主として行政解釈によって行われてきた虐待対応が、立法による法的枠組みとして整備されたことである。これに関連した通知等も数多く発出され、さらに、「児童虐待」が各分野の学会でテーマにされ、雑誌において特集が組まれるなど、児童虐待防止法の制定に伴う影響も各所にみられる。「協定書」や「覚書」を通じた行政と民間組織とのネットワークの構築、市町村のマニュアル作成、被虐待児への治療に関する研究、親への治療命令に関する議論、非行原因としての虐待という視点の明確化などが、各分野における今期の特徴として挙げられる。
     その一方で、「児童虐待」に関する重大な問題や日本の法制度の直面している課題が明らかになったのも、この時期であった。2004年初頭に明らかとなったいわゆる岸和田事件は、教育機関と児童相談所との連携や、学校における虐待防止に向けた取り組みのあり方に一石を投じた。司法関与のあり方、強制的立入調査制度、児童家庭相談の市町村への移譲といった問題が次の改正に向けての論点とされ、さまざまな分野から改正提言が行われた。国の社会保障審議会児童部会においても、「児童虐待の防止等に関する専門委員会」報告書(2003年6月)、「社会的養護のあり方に関する専門委員会」報告書(2003年10月)、「児童虐待への対応など要保護児童および要支援家庭に対する支援のあり方に関する当面の見直しの方向性について」(2003年11月)が取りまとめられ、これらの報告書は、2004年の児童虐待防止法・児童福祉法改正の方向性を示すものとなった。

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