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アジアにおける児童虐待への取り組みに関する研究 体罰の防止に向けて
研究代表者名
柳川 敏彦(和歌山県立医科大学)
研究概要
虐待に対する取り組みの先進国である欧米諸国の実態や取り組みは、従来からわが国に紹介され、わが国の対策の一助となっている。一方、アジア地域で子どもの人権擁護の概念が今なお乏しく、家庭、学校等における体罰の是非についての社会的課題が依然大きく残されている。
本研究は、アジア各国の児童虐待の現状と課題を明らかにし、アジアにおける今後の虐待対策に資することを目的としている。本報告書に先駆け、「体罰」という社会的課題の解決への提言を目指し、アジア地域の子どもの専門家に参加を呼びかけ、アジア地域虐待防止ネットワーク(CANAL: Child
Abuse and Neglect in Asian League)を編成した。また、研究成果の発表や研究意見交換の場としてホームページhttp://canal.wakayama-med.ac.jp/ を開設した。
本報告書は、日本版ICAST(ISPCAN Child Abuse Screening Tools)の作成に加え、アジア地域のISPCAN研究者3名(中国、韓国、タイ)から収集した調査や地域の研究レビューなど4点を翻訳したものである。本報告書に掲載されている計5点の研究論文名は、以下の通りである。
1) 柳川敏彦:日本版ISPCAN Child Abuse Screening Tools (ICAST)の信頼と妥当性の検討 その1-日本版ICASTの作成-
2)Jiao Fuyong:中国本土における児童虐待とネグレクトの現状の分析と評価
3) Yanghee Lee:韓国の国家児童保護サービスを受けている児童が経験した家族によるマルトリートメント
4)Yanghee Lee:韓国における児童のマルトリートメント:後方視的研究
5) Sombat Tapanya(タイ):9か国における子どもへの体罰:子の性別および親の性別による影響
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