人材育成に関する調査研究

2008年度研究

  • 児童相談所における 児童福祉司スーパーバイズのあり方に関する研究 (第1報)

    研究代表者名 川﨑 二三彦(子どもの虹情報研修センター)

     児童相談所においてスーパーバイザーの果たす役割はきわめて重要である。本研究は、児童虐待対応など児童相談所の専門性を高め、適切な相談援助を行うために、児童福祉司スーパービジョンの現状と課題を明らかにし、児童福祉司スーパーバイザーに必要とされるもの、また児童福祉司スーパーバイズのあり方等について検討し、あわせて今後の改善に向けての提起を行うことを目的として実施した。
     具体的には、児童福祉司スーパーバイザーとしての経験を持つ(多くは児童福祉司としてスーパーバイジーの経験も有している)現役の児童相談所長に研究への参加をお願いし、児童福祉司スーパーバイザーの現状と課題を整理した。その結果として浮かび上がってきたのは、次の3点である。
     第一は、児童虐待への適切な対応を求められる今日の児童相談所が、経験豊富なスーパーバイザーの存在を強く必要としているという点。
     第二は、大きく変化することを余儀なくされた児童相談所の業務などもふまえ、参考資料として示されている「スーパービジョンの要領」を再検討し、現状に沿ったものに改めることが求められているのではないかという点。
     第三は、これらの検討を行う上でも、現在行われているスーパービジョンについて、あらためて具体的に検討し、スーパーバイズの実際を明らかにし、スーパービジョンの事例を積み重ねるという点である。
     報告書には、各研究者の具体的な経験等についての報告を掲載するとともに、それまで発出されてきた国の指針等を概観してまとめ、児童相談所におけるスーパービジョンについての文献レビューも載せている。

    ※報告書全文は援助機関にのみ公開しているため、PDFを開ける際にはパスワードが必要です。パスワードは「援助機関向けページ」へのログインパスワードと同じです。

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  • 研修評価に関する研究ー児童福祉臨床での有益性を評価の視点とした 研修プログラムの作成についてー

    研究代表者名 平山 英夫(子どもの虹情報研修センター)

     児童福祉施設では、社会的養護ケースに対するアセスメント力の向上が大きな課題の一つとなっている。研修がこの力を養うためにどれだけ有効であったかを検討したのが本研究である。平成20年度児童養護施設職員指導者研修の参加者84名を対象に、次の4つの側面から評価を行った。
     ①参加者の研修に対する感想(「大変良い」から「工夫が必要」までの5件法)。
     ②実効性のある具体的な援助プランが策定できたか否か。
     ③そのプランが実際の支援において有益であったか否か(研修1年後に評価)。
     ④研修を通しての知識がどれほど深まったか、新たに気づけたことの有無、自身のケースへの気づきの程度。
     ①については、参加者の主観的評価として8割以上が「良い」以上の評価をしていた。②については、ほとんどの参加者が具体的なプランを立てることができた。④については、アセスメントにかかわる多くの項目で、気づきや新たな知見を学んでいた。③については次年度に評価を行うこととした。
     なお概ね良好な結果となったが、その背景として、事前課題として事例の概要作成を求めたこと、事例をさらに簡潔にまとめる演習を取り入れたこと、支援プランを作成する前に、事例で取り上げた子どもについて、課題となる生活場面や伸ばしたい場面等を整理し、支援のポイントを絞ったこと、グループで話し合いながらプランを立てたことなどが挙げられた。

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