人材育成に関する調査研究

2020年度研究

  • 人材育成に関する調査研究:専門職の養成と任用後の育成に関する研究

    研究代表者名 保坂 亨(千葉大学教育学部附属教員養成開発センター)

    1. 目的
     本研究は、専門家の資格及び養成・育成の仕組みについては、児童福祉領域以外に視野を広げると様々な形態があり、それぞれの長所と短所から学ぶものがあるのではないかと考えたところから出発している。従って、本研究の目的は、資格を有する専門職であるものの、資格の条件や育成のあり方が異なる領域(教育・医療・法曹・福祉)を取り上げ、資格の形態、そのための養成、任用後の育成等の現状と課題を把握し、児童福祉領域に必要な専門性や研修方法のあり方など人材育成を検討するための基礎資料とした。
    2. 研究の内容
     研究結果は以下の通りである。
    A) 医学・法曹・教育における国家資格の在り方(業務独占・名称独占等)、その養成(コアカリキュラムの位置づけ・実習を含む)と任用後の育成研修(実務訓練等)について以下の3論文を作成した。
    ① 「医学分野における人材育成:医師はいかにして『医師になる』に至るか」(独立行政法人国立病院機構東京病院呼吸器センター長・佐々木結花)
    ② 「法曹分野における人材育成:嵐の中の法科大学院」(千葉大学大学院社会科学研究院・林陽一)
    ③ 「教育分野における人材育成:教員養成・採用・研修の一体化」(千葉大学教育学部附属教員養成開発センター教授・保坂 亨)
    B) 上記論文を読んだ研究者(保坂・増沢・高橋温弁護士)による討論会を実施した。なお、討論にあたっては上記論文を踏まえて、以下のように課題を整理した。
    ① 資格の範囲
    ② 養成段階の基本方針(閉鎖系 / 開放系)
    ③ コアカリキュラムの導入
    ④ 資格の在り方(業務独占 / 名称独占)
    ⑤ 実習改革
    ⑥ 免許更新制
    ⑦ その他(資格における国籍条項、旧姓使用問題)
    その成果としての研究報告書の第一部論文編には、医学・法曹・教育の3領域における人材育成についての3論文を掲載した。続く第二部討論編は、それを踏まえて児童福祉領域の専門性・資格について意見交換を実施した逐語記録であり、第三部資料編はその関連資料を掲載したものである。なお、2019年に設置された「子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格の在り方その他資質の向上策に関するワーキンググループ」の中間報告(とりまとめ:2021年2月2日)を討論に際して参考としたため資料として掲載してある。

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